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  1 ヨーロッパのお惣菜やさん  2007年1月3日 (水)
 


 シャルキュトリと呼ばれるフランスのお惣菜や


旅先では、必ずその土地のお惣菜やさんに立ち寄ります。
そこに並んでいるのは、郷土料理としては語られることのない、
素朴な家庭の味。

肩肘張らないお惣菜たち一つ一つに、
地元の人たちの暮らしが浮かんできます。

今月は、フランスやイギリスなどヨーロッパ各地のお惣菜やさんと
そこで暮らす人たちの特集です。


 

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  2 フランスのシャルキュトリ  2007年1月10日 (水)

旅行しながらパリの街をふらりふらり、宿に戻る前に夕ごはんを調達しようとしていた時のこと。
小さなスーパーの隣に、オレンジ色のテラスのお店を見つけました。
そのショーウインドウには、びっくりするほど立派で美しい、色とりどりの料理が並んでいます。
この雰囲気、これってひょっとしてお惣菜やさん!?



   

テイクアウトできるのかな、このまま食べられるのかな、とためらう暇もなく、その美味しそうな料理に呼び寄せられるように、私たちは店の中へ。
小さな店内に並んでいるのは、ざっと見ても50品以上。蒸したエビやパテやソーセージ、ハム、サラダやマリネ、パスタ、キッシュなど、色鮮やかでそのままレストランで出せそうな手の込んだ料理がずらり。オードブルからメインディッシュまでなんでも揃っています。
今日の夕食はここで買おう!と、一気にテンションの上がった私たちは、これを1つ、それを2枚、あとこれとこれも下さい!と、いつも日本のお惣菜やでやっているように指さしながら、なやみになやんで5品をチョイス。店員さんたちも親切に話してくれて、なんだか日本のお惣菜やのおばちゃんたちのようでした。



 これがフランスのお惣菜やさん“charcuterie(シャルキュトリ)”です。


    この日私たちがテイクアウトしたメニューは…


しっとりと蒸しあげた輪切りの冷製サーモン。マヨネーズを添えて、レタスの緑とトマトの赤が美しい盛り付けの一品。器はホタテ貝の貝殻。
ムース状にしたポークのテリーヌ。普通のパテとは違った独特のふわっとした食感。まわりはコンソメゼリーでコーティング。
新鮮なクルマエビの塩茹で。シンプルな調理法が素材の甘さと身のしっとり感を見事に引き出してます。
魚介のマリネ。イカ、ムール貝と、小エビ、ホタテの貝柱を野菜とあえてさっぱりと味付けしたもの。
ハムとゆで卵のゼリー寄せ。薄切りのジャンボン(ハム)で巻いたゆでたまごが中に入っています。割ってみるととろりと半熟状態。口の中でコンソメのスープがとろける舌触りは絶品!とても手の込んだオードブル。

フランスの人たちはこんなお惣菜をいつも食べているんでしょうか?
だとすれば、どんなに華やかな食卓なんでしょう。盛り付けにも凝っていて、どんな味なのか、どんなおいしさなのかと想像力をかき立てられます。簡単なプラスチックの器に盛られているのも、ふだんぎな感じがしていいですよね。

テーブル代わり置いたトランクにナプキンを敷いて、買ってきたお惣菜を並べたのが私たちのその日のディナー。隣のスーパーで500円位で特売していたボルドー産の赤ワイン。

そして、どの料理もびっくりするほどおいしい!こんなの食べたの初めて!というくらい、調理法もバラエティ豊かで、お皿にのせればそのままレストランで出せというほど、一品一品が完成されていました。こんなおいしいものが街角で手軽に買えるなんて。“食はフランスにあり”と言われるのも当然じゃないか!

肩肘張らないおいしさと楽しさ、そしてフランス料理の奥深さに触れることのできたディナーでした。
 

“シャルキュトリ”は、パリの街角のあちこちで見かけました。
セーヌ川のほとりの商店が建ち並ぶ通りにも、宮殿の構えるベルサイユの下町にも、どこの街を歩いていてもシャルキュトリはありました。

あとで調べてみると、シャルキュトリという名前は、もともとは豚肉や豚肉加工品の専門店のことで、豚肉のハムやソーセージを売っていたんだそうです。だからシャルキュトリの看板には「鍋に入った豚」の絵がよく使われていたんですね。
    
フォアグラや生ハムなど高級な食材の揃うシャルキュトリから、パスタやマリネなど気取りのないお惣菜の並ぶ下町のシャルキュトリまで、幅広い品揃えもその魅力。
仕出しやケータリングサービスをする店もあるようで、ちょっとしたパーティから大きな会場での迎賓会などでも、臨時の会場をレストランのように美しく飾るのは、シャルキュトリの料理なんですって。フランス料理を学ぶための研修先としても、レストランやパティスリとともに、シャルキュトリも名を連ねているそうです。
ハム一枚、テリーヌ一切れから、必要な分だけ量り売りで買えるので経済的だし、味もいいし、種類も豊富。焼きたてのバケットとワインを添えれば、フレンチレストランにも負けない立派な料理になります。





私たちが通っていた店は、スーパーの隣にあってわりと庶民的な雰囲気でしたが、左の写真の店のように、キャビアやトリュフなどの高級食材をふんだんに使ったお惣菜が並んでいるシャルキュトリもありました。 オマールエビやフォアグラを使った見事な盛り付けの料理の数々。
シャルキュトリは、幅広いフランスの食に出会える場所でもあります。


さて、シャルキュトリのおいしさに感動した私たちは、翌日もそのお店へ足を運びました。
ショーウィンドには、前の日には並んでいなかったものもあり、さらに悩みます。オーブンで焼かないと食べられないものもあるけど、キッチンのない宿なので、それは断念。グリュイエールチーズをたっぷりのせたホタテのコキーユ(グラタン)、食べたかったなぁ。

その日に選んだのは…

前の日に食べてすっかり気に入った、冷製サーモンとコンソメゼリー寄せ
グリュイエールチーズの下に野菜がぎっしりつまったピザ
レモンのさっぱりとした味付けのシャンピニオン(マッシュルーム)のマリネ




普段の食事から、お客様が来たときのもてなし料理まで。
そしてオードブルからメインディッシュ、デザートまで。

フランスのシャルキュトリは、食べることを楽しみ、食卓を愛する、
フランスの人たちの暮らしが生んだお惣菜やさん
でした。

 


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