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ヤムヤム!インタビュー 話題の人
イギリス文学を研究する津久井良充さんは、おすすめの本で紹介した『電信局の娘−アントニー・トロロープ短篇集』の翻訳者で、ジョセフ・コンラッドの研究者でもあります。何度も訪れたというイギリスの旅の話を伺おうと、勤務先である高崎経済大学の研究室を訪ねました。
優れた文学を生み出してきたイギリスには、その舞台となった美しい場所が数多くあります。
津久井さんは、研究者としてイギリス文学の世界と向き合いながら、何度となく足を運びイギリスの魅力を感じてきました。
「本当のイギリスを楽しむには、“肌で感じること”が大事なんです。下調べは最低限、原則的に宿の予約もしません。自分の目であちこちを見て回ること。しばられず好奇心の赴くまま、その場所での感性を大切にするんですね。」

肌で感じるイギリスの旅

津久井さんは自分の旅を“体当たりの旅”といいます。そんな旅の中の印象深いエピソードとして、イギリス北部の湖水地方を旅した時のことを話してくれました。
湖水地方は、ピーターラビットの作者ベアトリクス・ポターが愛した自然あふれる場所。津久井さんは、その日の宿を探して、湖の畔を車で走っていたそうです。
「立派なB&Bはいくつかあったんですよ、でもなんか面白そうではなくて。それでパッとみたら、小さいB&Bがあって。中に入ると、太ったおかみさんが出てきて、うれしそうな顔するんですよ。あまり繁盛していないのかなぁと思って入ったんですけど、部屋の窓からの風景が・・・。あんなきれいな場所は見たことなかったですね。」

案内された部屋の窓の向こうに広がる風景は、今でも忘れられないほど美しかったといいます。
「目の前になだらかな牧場が広がっていて、東に小高い塚があってそこがヒツジの寝床になっているんです。夕方になるとそこに登っていって朝になると起きて塚を下りてきて牧草を食む。ずうっと先に湖があって野生のガンがえさをついばんでいる。湖の上には丘があって、夜になるとその丘の上を月が昇るんです。夜が明けると、窓の外にガンやヒツジ、牛の親子がやってきて朝の訪れを告げる・・・あの美しさはどんなガイドブックにも載っていない・・それは偶然出会ったものなんです。」

自然のリズムで生きる・・・スローライフ

津久井さんがイギリスで出会った数々の風景は、自然や人々の暮らしと向き合う“スローライフ”について考えるきっかけになったといいます。
「キャンプ場でね、3人の若い女性がお茶を飲んでたんですけど、僕が出かける前にお茶飲んでた人たちが、帰ってきた時も同じ格好でお茶飲んでるんですよ。横のおじさんも、同じ格好で本読んでるんです。そうしてまた海辺ではね、夕方になると車が1台2台とよってきて、夕日を2時間も3時間も見てるんですよ。年寄りも若い人も。何もせずに、ただ夕日を見るということ、そのことのすばらしさをイギリスの人は知ってるんです。」
ずっと昔から変わらない自然と人間の営み。そこに住んでいることを楽しんでいる人々・・・これらがゆったりとした時の流れとなってイギリス人の日常生活に表れていると津久井さんは話します。

今年4月に観光政策学科(高崎経済大学地域政策学部に新設)の学科長に就任した津久井さんは、そんなイギリスでの体験を、新しい観光の形や地域づくりに生かそうと熱意をのぞかせます。
「日本は一部の地域をのぞけば、みんな“ここには何もない”といいます。でもイギリスでは、昔から変わっていないというのが一番の観光資源なんです。」
そこに暮らす人が楽しくなければ、来る人を楽しませることはできないことに、私たちは気づき始めているのかもしれません。今の時代に、ゆったりとした自然のリズムで生きるスローライフという言葉が、私たちの心に共感をもって染み込んでいきます。
イギリス生活の中で、“肌で感じたスローライフ”を、津久井さんは、学生たちに、また地域の人たちに伝えようとしています。


津久井さんの目指す“スローライフ” に乾杯!

 

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