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タイのチェンマイ県ドイ・サケット区。 昨年、健康サンダルの会社を起業した
ランさん(37歳)に、工場のあるご自宅でお話をうかがいました。




ランさんが住んでいるのは、バンコクから飛行機(国内線)で北へ50分のチェンマイ市街地から、さらに車で1時間ほどのところのドイ・サケット区です。この地区は農村地帯ですが、近年ニュータウンが次々に造られ、ランさんの会社もそうしたニュータウンのひとつの一番奥まったところにありました。

ランさんの本名はMIRINYA SAISON(ミリンヤ・サイソム)。ランはニックネームです。
ランさんは25歳のとき初めて日本に来ました。きっかけは、日本人と結婚したおばさんの店を手伝うためでした。その後7年間、日本とタイとをいったり来たりしていましたが、3年前からタイに腰をすえ、サンダル工場をはじめたのは2年前。そして、2005年11月、健康サンダルの製造販売会社「ケイコ・スリッパ・コーポレーション」を設立しました。

「タイでは、日本の名前のほうが信用されるので、ケイコという名前をつけたの。」とランさんは、ランブータンをむく手をとめて答えてくれました。とても上手に日本語を話すランさんの傍らに、ぼろぼろになったタイ日辞典が置かれていたのが印象的でした。


         
         左からランブータン・龍眼・ドリアン

ランさんがタイでこの仕事を始めたのは、日本で健康サンダルを見て、自分なりに工夫した物をつくってみたいと思ったことがきっかけだったそうです。
ランさんが独自に工夫したところを教えてもらいました。
「日本の健康サンダルは坪押し突起が一種類だけれど、私は、女性用のサンダルのつぼの位置や長さなど工夫して、一般的なものと、突起の長いものと2種類作っています。男性は体が重いので1種類です。」
そういえば、タイの女性には小柄な人が目立ちました。ランさんのサンダルは、タイの人にとって履きやすいものなのだろうと思いました。タイでは、チェンマイをはじめバンコクでもいろいろなサンダルをはいている人を多く見かけました。



サンダルの包装。パックに書かれた言葉はランさんが考えたもの。
スリッパの価格は、お手ごろ感を出すため199バーツという端数にしたとのこと。


サンダルに使われている布地にも、ランさんのこだわりがありました。
「サンダルには、ここ(チェンマイ)で織られた布を使っているの。」という言葉どおり、工場の中には、何種類ものチェンマイ織りの布地が積まれていました。チェンマイ織りは、日本の絣のような風合いのある布で、懐かしさと気品とが感じられました。

日本では販売しないのですか?と聞くと、「日本は、中国の製品が安く入っていて、競争しても無理なので販売しません。販売先は主にチェンマイのデパートなど、バンコクでも売っています。タイ国内には62,000,000もの人がいるので、その人たちに履いてもらいたいのです。」と、女社長としての意気込みを語ってくれました。

工場の中では4人の女性が働いていました。数台の足踏みミシンと、最近購入したという三菱の電動式工業用ミシンが2台ありました。「この辺りはしょっちゅう停電して・・・。停電があると電動ミシンが止まって、仕事ができなくなってしまうの。」とランさん。
農村地帯を開発して建設されたニュータウンでは、停電と洪水とが目下の大きな悩みになっているようです。ちなみに、私たちがタイを訪れた前の週には、チェンマイとその郊外で大きな洪水があり、チェンマイ市街地でも塀の真ん中ぐらいまで水につかり、ランさんの家にも水が入ったとのことでした。

ランさんは、毎週開かれるこの地区の起業家の集まりでは、一番若い女性の社長です。
そんなランさんに将来の夢を尋ねたら、「いろいろなことをして、60歳くらいになったら、出家して尼さんになりたい。」という答えが返ってきました。
仏教国のタイでは、「出家は何よりも優先されるもの」と聞きます。出家することが自分を生かす最善の道と考え、現実の社会の中で精一杯頑張っているランさん。その生き方に、仏教、王様、そしてタクシン首相の経済政策という3本柱で成長を続けるタイの強さを見たように思いました。


 

 

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