さて、8年前の7月に遡ります。イギリスを目指して成田を出発した飛行機は、新潟上空を通って、シベリアの長いツンドラ地帯を飛んでいました。早朝に家を出て、新幹線とスカイラーナーを乗り継ぎ、また、成田空港では慣れない搭乗手続きで緊張しどうしだった私は、うとうとしていました。
ふと窓の外に目を落とした私は、思わず身を乗り出しました。眼下に「風の谷」を見たように思ったのです。「風の谷のナウシカ」ご存知ですか?ナウシカが育ち、腐海の中のオアシスとして、宮崎駿が描き出した「風の谷」です。青い海となだらかな海岸線をもつ、その美しい風景は、じきに、雲によって視界をさえぎられてしまいましたが、私の心に鮮烈に焼きつけられました。そして、太陽の光を反射して真っ白に輝く雲の上をすべるように飛ぶ飛行機の中で、私は、白い翼の上のナウシカになっていました。
しばらくして、雲の切れ間からのぞいたイギリスは、赤と緑のクリスマスカラーでした。それは、飛行機が下降するにつれて、木々の緑と赤い屋根に変わり、そして、ゆったりと流れるテムズ川がどんどん大きくなっていきました。
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私が搭乗していた約11時間、外はずっと明るい昼でした。成田を12:00に出発し、イギリスに15:45分に到着するこの飛行機は、太陽よりちょっと遅い速度で東から西へ向かって、太陽を追いかけながら飛んでいたことになります。
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