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マーゲイトに到着した日の午後、ルットランドスクールに行きました。応対してくれたのは、秘書のジーンさんでした。私は、彼女の声には聞き覚えがありました。
入学手続きのため、初めてルットランドスクールに国際電話をかけたときのことです。短い呼び出し音の後、「ハロー」と電話口に出てくれたのがジーンでした。私も「ハロー」と答えましたが、私の「ハロー」という声が、受話器を通して私の耳にこだまのようにリフレーンして聞こえてきました。私の緊張は一気に高まりました。
英訳して、手元に準備した問い合わせ内容についてはどうにか聞いたのですが、電話を切る段になって、はたと困りました。「失礼します」の英語がわからないのです。その時、電話先のジーンが「何かほかに聞きたいことがありますか?」と問いかけてきたのです。私は、「thank you」といって切ろうしましたが、ジーンさんは切る気配はなく、そのまま待っているのです。私は、もう一度「thank you」と繰り返しましたが、状況は変わりません。困った私は、しばらくの沈黙の後、そのまま電話機を置いてしまいました。
電話を切った後、私は、「thank you」に「good-by」か「bye」をつけるだけでよかったのに、ジーンに失礼なことをしてしまったと大いに悔やんだのでした。
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目の前にいるジーンは、ちょっと白っぽい金髪に黒い水玉のワンピース姿の、イギリスの中年婦人特有の風格を漂わせていました。私は、そのジーンから問題を渡されました。それは、日本の中学校で習う程度の文法100題でした。「初めての電話」のときのように緊張することもなく問題を説き終わりました。結果は79点。「グッド・パーフェクト」という校長のコリンの言葉に気を良くして、ルットランドスクールの第1日目が過ぎました。
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