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イギリス最後の日、ハイドパークのすぐ近くにホテルをとった私たちは、
朝からハイドパークに出かけ、木陰を見つけて一休み、リスに出会って一休み、
そんなのんびりとした1日を過ごしました。
昼食は、ハロッズから買ってきたサンドイッチ。
昼食を終えると、私は木陰に置かれたイスに腰掛け、夫は芝生に寝転びました。
しばらくして、ふと気配を感じた私が目を開けると、初老の男性が笑顔で立っていました。
私が昼寝をしていたイスは、使用料1ポンドのレンタルだったのです。
その男性は、私から1ポンドを受け取ると去っていきました。
夫は、気持ちよさそうに芝生で昼寝をしていました。
日本では、2人で出かけるとき、私はいつでも夫の’後ろ’にいました。
電車の切符を買うとき、レストランに入るときなどなど。
イギリスで夫と一緒に過ごした10日間。
チケット売り場・観光案内所・ホテル・レストランなど、私はいつでも夫の’前’でした。
「会話は度胸」と単語で話す私の後ろで、夫は、ハラハラしながら見守ってくれていました。
実は、夫は、ネイティヴの話す英語の早さについていけなかったのです。
イギリスに着いて早々、ホテルでキーを受け取った後、フロントの女性に何か話しかれられたそうですが、夫は全く聞き取れなかったようです。
空港やタクシーでは大丈夫だったのだけれど・・と夫は振り返ります。
「もっとゆっくり話してくださいと言えばよかったのに」という私に、
「そうだね。思いつかなかった」と答える夫は、かなり落ち込んでいました。
「夫唱婦随」という言葉がありますが、イギリス旅行中の私たちは、まさに「婦唱夫随」でした。
我が家のレディーファーストは、こんなことから始まったのでした。
日本に帰ってきた私たちは、並んで歩くことが多くなりました。
そして、どちらが先でもぜんぜん気にならなくなりました。
イギリスでの経験は、私にとって人生のターニングポイントになリました。
それまで、妻として母として、夫や子どもを優先してきた私でしたが、
1人で過ごしたイギリスでの生活は、自分を見つめなおす時間を与えてくれました。
そして、そのとき芽生えた自分を表現したいと思う気持ちは、
その後のホームステイ受け入れ、大学院への社会人入学、会社設立など、
具体的な形となって私の生活を変えていきました。
そんな私の傍らには、いつもハラハラしながら見守っている夫の笑顔がありました。
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