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イギリスはレディーファーストの国といわれます。
レディファーストについては、女性の自立の観点などからいろいろな解釈がされているようですが、イギリス滞在中に体験したレディファーストは、私にとってはとても心地良いものでした。そして、私たち夫婦が、典型的な日本夫婦であることを気づかせてくれるきっかけにもなったのでした。
ヴィクトリア駅でのことでした。大きな旅行かばんを持って列車から降りた私のそばに、1人の男性がさっと近寄ってきて、私の旅行かばんを運んでくれようとしました。「大丈夫です。私は夫と一緒です。ありがとう」というと、その男性はそのまま、何事もなかったかのように改札口の方へ歩いていきました。
このとき、私は夫と一緒でしたが、夫は「ぎっくり腰の常習者」なので、大きな旅行かばんは私が担当していたのです。日本の主婦はたくましい・・という声が聞こえてきそうですが、これも妻としての夫への気遣いと思っていました。
日本では、「気遣いは女性がするもの」という風潮が現在でも残っています。
イギリスは、レディファーストの土地柄のためでしょうか、「男性の気遣い」を目にする機会に多く出会いました。
ドアを開けてくれたり荷物を持ってくれるレディファーストは、良く知られています。それ以外にも、デパートでベビーカーを押した女性がエスカレータに乗ろうとすると、男性が2人さっと近寄ってきて、べビーカーを持ち上げ上の階まで運んでくれるのです。私は、初めてその光景を目にしたときは、知り合いの人なのだろうと思いましたが、そうではなかったのです。ロンドンでもケンブリッジでも、
同じような光景を何度となく目にしました。レディファーストの国は、赤ちゃんや子どもにとっても優しい国なのだと感じました。
そして、私がレディファーストで感じた心地良さは、自分の存在を認めてくれて、目に見える行為として気遣いを示してくれることのうれしさだったのだとわかりました。
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日本の男性である夫は、気遣いを態度で示すことが得意ではありません。日本の女性である私は、気遣いを態度で示そうとしてきました。ビクトリア駅での体験は、私と夫の両方に影響を与え、その結果、我が家では、気遣いが言葉として表現されるようになりました。最近では、体力の衰えとともに、ますます言葉だけが飛び交うようになっています。
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