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イギリスのお正月、日本のお正月! 新しい年の始まりを楽しもう!遠いようで意外と近い2つのお正月
 
    
 

日本のお正月とイギリスのクリスマス。この二つの行事を起源や由来だけでなく、実際に人々がどんなふうに楽しんでいるの?というところから見るのがヤムヤム流。そこから見えてくる、伝統や宗教をこえた人々の姿とは?

  イギリスのクリスマスと日本のお正月、どちらも真冬の年の瀬に、家を飾り付けて、ごちそうを作って迎える、年に一度の大イベントです。そのための念入りな準備は欠かせません。人々は年に一度の食卓を飾るべく、マーケットや市場に買い出しに出かけます。

日本では、年の瀬になるといろいろな場所で市やセールが開かれ、正月用の飾りや食材が並びます。東京の上野アメ横でも、売り子たちの威勢のいいかけ声が飛び交い、正月を祝うための魚や数の子などを手にした人々で賑わいます。ロンドンのショッピングストリートでもツリーやリースが並び、クリスマス前の大規模なバーゲンが行われます。きらびやかに飾られ活気に満ちた街、ショッピングに一番楽しい季節です。

新年を祝うための準備はまた、友達や家族と楽しく過ごすための準備でもあります。
その日を楽しみに待ち望む人々の気持ちが、お正月とクリスマスを近いものに感じさせているのかもしれません。

 
   


日本のお正月のシンボルといえば「門松」。デパートの前の大きな門松から、各家の玄関などに飾られる小さな松飾りまで形も大きさも様々あります。

門松とクリスマスツリーとの共通点は、どちらも、一年中緑の葉を茂らせている常緑樹を使っているところです。門松や松飾りには、日本の常緑樹の代表である松と竹が使われています。イギリスのクリスマスツリーに使われるのはもちろんモミの木です。そして家の入り口に飾られるクリスマスリースも、やはりヒイラギやツタの葉などの常緑樹が使われています。それらは、寒い冬にあっても葉を落とさない強い生命力を感じさせ、芽吹きの春を待ち望む人々の気持ちを表すのにふさわしいものととらえられてきたのでしょう。

飾られる場所にも共通点があります。
門松は、門や玄関先に飾られますが、それは「お正月の神様」を迎えるための目印と考えられているからです。
クリスマスツリーは、イギリスのどの家も、通りから見える部屋の出窓の前に置いています。カナダでは、家の庭に飾られることもあります。それを目印に、サンタクロースがやってくるともいわれます。
どちらも、外から見える場所に飾られ、新しい春を迎える準備ができているサインになっているのです。
 
 
 



家や部屋を飾ることも、クリスマスの楽しみの一つです。クリスマスが近くなる頃に行われるツリーの飾り付けは、星や天使、飾り玉などのオーナメントを子どもや家族と一緒に飾り付ける、楽しみなイベントの一つです。

日本では、門松が今のように普及する以前にも、いろいろな木を正月の飾りとして使っていました。新年を迎えるために新しい木を山からとってきて飾る風習は各地に残っています。柳を束にしたものや、杉の葉、椿など、また、緑の葉のないものは、木を削って花のようにしたり、紙飾りでにぎやかにしたりと、そのあり方は様々です。
東北地方で広く行われている小正月の「団子さし」もその一つです。「団子の木」と呼ばれるみずきや栃などの枝に、小さく丸めた団子や餅をさして、大黒柱や神棚に飾り付けます。餅花、繭玉、稲の花とも呼ばれ、新年もたくさん稲が実るように、いい繭がとれるようにと願いをこめます。芽吹く前の枝に花や実を飾り、春の訪れを待ち望むのです。

今でも小正月(1月15日)にあわせて行われる団子さしは、楽しみな行事の一つとなっています。家族そろって団子や飾りを準備し、子どもたちは背伸びしながら自分よりも背の高い木の枝に一つずつ飾りを付けていきます。

家族で楽しみに行う団子さしの様子は、イギリスで見るクリスマスツリーの飾りつけの様子にとてもよく似ています。どちらも子どもや家族が一緒に飾り付けをする、冬の楽しみなイベントになっているんですね。

 
 



秋田県の男鹿半島に伝わる「ナマハゲ」
は、大晦日または小正月の晩に、鬼の仮面を藁の蓑を着て仮装した若者が、「悪い子はいねぇがぁー」と大声をあげながら家々を訪ねてまわります。怠け者や、言うことを聞かない子どもを戒めるためにやってくるといわれています。

そんな恐ろしい姿の「ナマハゲ」、子どもにプレゼントをくれる優しい「サンタクロース」とは似てもにつかぬものです。しかし実は・・・?

クリスマスイブの晩にやってくる優しいおじいさん、サンタクロース。ヨーロッパで広く信じられているこのサンタクロース、実はちょっと怖い面も持っていたのです。
ドイツのアルプス地方では、イブの晩に、村人二人が赤いサンタクロースと黒いサンタクロースに扮して、一緒に家々を回る風習があるそうです。そして、子どもたちに「ちゃんとお手伝いをしているかどうか」、「習った歌を覚えているか」などと尋ね、いい子には赤いサンタがご褒美をあげます。でも、常にその背後に控える黒いサンタ・・・もしいい子にしていなかったら?と、子どもたちは黒いサンタを恐れています。
イタリアでも、クリスマスに訪れる魔法使いは、いい子にはキャンディーを、悪い子には木炭をおいていくという話があるそうです。

「いい子にしてないとサンタが来ないよ」といわれるイギリスの子どもたち、「怠けていると、ナマハゲに言いつけるよ」といわれる日本の子どもたち。どちらの親も、子どもをおとなしくさせるために、その名前を使うのです。
サンタクロースもナマハゲも、神の化身として年の瀬の晩に子どもたちに会いに来て、その成長を見届ける役目なのかもしれません。

 

 
 

この特集では、イギリスのクリスマスと日本のお正月との、宗教や地域を越えた意外な関係を紹介してきましたが、まだまだ他にもたくさん見つかりそうですね。年賀状とクリスマスカードの関係、お年玉とプレゼントなどなど・・・。
イギリス人にとってのクリスマス、日本人にとってのお正月、どちらも、新しい春を待ち望み、友達や家族と楽しく過ごす、年に一度の大イベントです。そして、その日を楽しもうとする人々の気持ちが、宗教や風習の異なる二つのイベントを、いっそう近いものに感じさせるのかもしれません。

(ヤムヤム!1月号特集「イギリスのお正月、日本のお正月!」 おわり)

みなさんからのご意見・ご感想お待ちしています。
yumyum@tomika-c.com
ヤムヤムコミュニティーでもお待ちしています→こちら



※もっと知りたい人のためのガイド

イギリスのクリスマスについてもっと知りたい人は
→イギリスケント州にあるWoodlands Junior Schoolのウェブサイト
  http://www.woodlands-junior.kent.sch.uk
クリスマスのイベントについて丁寧に紹介されています。

ヨーロッパのクリスマスについてもっと知りたい人は
→アメリカOPB・2005年制作のドキュメンタリー番組『Rick Steves European Christmas』
 (NHK 『世界のドキュメンタリー・ヨーロッパ クリスマスの旅』として2005年12月24日放映)
赤と黒の二人のサンタクロースがいると伝わるアルプス地方の話は、この番組で紹介されていました。

日本各地の正月行事についてもっと知りたい人は
→鈴木棠三 ・1977年の著書『日本年中行事辞典』(角川書店) p.41-306 「正月」の項
この本を読んで、なぜ小正月にどんと焼きや団子さしが行われるのか考えました。

なまはげについてもっと知りたい人は
秋田県男鹿市『なまはげ館』 http://www.namahage.co.jp/namahagekan/
なまはげの衣装を実際に着ることができました。生なまはげにも会えました。

 

 

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