寒いからこそ嬉しい、あったかいスープ。マーガレットが作るチキンと豆のスープは、鍋で半日コトコトと煮込んで作る冬のごちそうです。イギリスでは、どんなスープがポピュラーなのでしょうか?
イギリスのスーパーマーケットを見ていて気づいたのですが、日本と比べて、スープの缶詰の種類と数がとても多いんです。日本ではスープの缶詰はあまりなじみがありませんよね。 イギリスでポピュラーなのは、400g入りの缶詰で、日本で見かけるトマト缶の大きさです。水やミルクで約2倍に薄めるタイプで、1缶50p〜1ポンド(100〜200円)前後の値段です。 スーパーに並んでいる主なメーカーは、イギリスのBaxters(バクスターズ)、アメリカのCampbell's(キャンベルズ)、Heinz(ハインツ)です。Baxtersは51種類、Campbell'sは28種類、Heinzは30種類のスープの缶詰を出しています(各社ウェブサイトより)。小さなスーパーマーケットでも、15種類〜20種類の缶詰が並んでいます。 Baxtersが“Favourites”として販売しているスタンダード、基本の16種類のスープを見てみましょう。
スーパーマーケット(Tesco)に並ぶスープの缶詰。 上列がBaxters、下列がCampbell'sというメーカーです。Baxtersは最も多い51種類のスープを販売しています。
イギリスの家庭には、それぞれのレシピで作る自家製スープがあります。 今回は、12月号のクリスマス特集でも登場してもらった、マーガレットさんに冬の定番スープを紹介してもらいました。
「私がよく作るのは、鶏ガラのスープに野菜や豆を一緒に煮込んだスープよ。このレシピは私のMotherのもの。名前はそうねぇ、チキンと豆のスープ、“ウィンターシチュー”でどうかしら?Motherはいつも冬になると必ずこのスープを作っていて、子どもの頃から私は大好きだったわ。 ローストチキンを焼いた次の日に作るの。はずしたチキンのガラをとっておいて、次の日ね、ひたひたになるくらいお湯を入れて、弱火でずーっと煮込むの。ただ火にかけてほっておけばいいのよ。ちっとも大変じゃないわ。 でも、一つだけ大変な仕事があるの。途中でガラを取り出して、骨のまわりに付いている肉を丁寧に取り除かなきゃならないの。あとでスープの具として一緒に煮込むためなんだけど、すごく細かい作業で、手先がおかしくなりそうになるわ!でも美味しいできあがりのためには欠かせないの。」 「そうしてガラを取り出したら、そこに玉ねぎやニンジンなどの野菜をなんでもいれちゃうの。それと、豆と麦ね。たっぷりと。“スコッチ・ブロス(Scoth Broth)”っていう定番のスープがスコットランドにはあって、それにも麦が入っているのよ。Motherはスコットランドの生まれだったから、たぶんこのスープはスコットランドのテイストなのね。 私は、お店で売っている“カントリースープ”用の穀物セットを使っているわ。乾燥したレンズ豆、エンドウ豆、麦など、何種類かの豆や穀物が入ってるの。それを一晩水につけて戻して。栄養もたっぷりで身体にいいし、とろみが豆や麦からでるから、スープがずーっと冷めなくて熱々なのよ。」 「このスープには、トーストしたパンが合うわよ。ちょっとスープに浸して食べるの。玄米ライスにも合うわね。最近イギリスでは、玄米ライスはヘルシーだし人気なのよ。 このスープはやっぱり冬のものね。夏には熱々のスープは食べるのもちょっと大変じゃない?夏だったら、ローストチキンの次の日には、チキンからダシだけとって、それを冷凍してスープストックにしているわ。スープは冬のごちそうなのよ。」
マーガレットの作るウィンターシチューは、お母さんから受け継いだ家庭の味でした。穀類がたっぷり入ったとろみのあるあたたかいスープは、冬の食卓を豊かなものにしてくれる、とっておきの冬のごちそうなのです。