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DadやGrandpaが小さかった頃、
夏中遊んだ海辺の話


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ちょっと昔の話
Dadと海辺の“Punch &Judy”
Grandpaと“笑う水兵さん”
カラフル★ビーチハット

 1 ちょっと昔の話  2006年8月1日 (土)
 
 

Dadが小さかった頃、
夏になると毎日砂浜に人形劇のおじさんが来ていたんだって。
Grandpaが小さかった頃、
海辺のお店で“笑う水兵さん人形”を見るのが楽しみだったんだって。

お父さんやおじいさんも、同じように遊んだ夏の海。
本の中にしかない遠い昔のことじゃなくて、
DadやGrandpaがうれしそうに話す、ちょっと昔の話。
今も昔も変わらない青い海、そこに集まる人たちの楽しそうな顔。
海が好き、夏がうれしい。
そんな気持ちを伝えたいのが、今月号の特集です。

















  

 2 Dadと海辺の人形劇“Punch & Judy”  2006年8月11日 (金)

Dadが見せてくれた、一枚のセピア色のポストカード。 浜辺で過ごす人たちの中に、不思議な人だかりがありました。 これは何をしているのと聞くと、Dadはうれしそうに話し始めた。
「夏になると、海辺にパペットショー(人形劇)がやってきたんだ。“パンチ&ジュディ”といって、Dadが子供だった頃には毎日のように見に行っていた。パペッターのおじさんが、カランカランとハンドベルを鳴らしながら、 “Punch and Judy ! Come and see the show !” といって人を集めてまわるんだ。手作りの小さな箱をセットするだけで、砂浜の上は小さな劇場に早変わり。主人公の人形は、パンチというわし鼻でとんがり帽子のおじさんで、赤ちゃんのお守りを妻のジュディに頼まれるけど、からきし世話ができないんだ。それで結局パンチとジュディは棒でたたき合いの大ケンカ。そのやりとりが愉快で、何度見てもおもしろくてね。
観客も一緒になってかけ声を掛けたり、クロコダイルにソーセージをあげたりするんだ。話の中身はとても説明できないくらいバイオレンスなんだけど、大人も子供も一緒になって大笑いして、大好きだったんだ。」


“パンチ&ジュディ”は、なんと300年以上の歴史を持つ人形劇。17世紀にイギリスで始まって、19世紀のヴィクトリア時代に広く流行したのだそうです。 パペットショーとは、手にはめた人形を舞台の裏から出して操る人形劇。パンチ&ジュディの場合は、一人のパペッターがいくつもの人形をかわるがわる操ります。
主な登場人物は、パンチ、ジュディ、赤ちゃん、警官、お化け、道化師、そしてクロコダイル。イタリアの昔話を元に、ロンドンのコヴェントガーデンで始まったのが最初といわれていますが、伝わっている話は、演じるパペッターによって少しずつ違っています。人形もそれぞれのパペッターによって表情や動きに特徴があります。
全盛期には、イギリス中で何千というパペッターがいて、夏になるとイギリス各地のどこの浜辺でもショーが見れたのだそう。数はずいぶん減っていますが、今でもパペッター達の活動は受け継がれています。フェスティバルなどのイベントの際には懐かしい手作りの人形とともに登場し、大人にも子供にも大人気。


ある日、ボクもとうとうパンチ&ジュディショーを見ることができたんだ。
Dadに連れて行ってもらった、にぎやかな海辺の町のフェスティバル。
カラコロとなるハンドベルの音、カラフルな旗で飾られた小箱のようなステージ。白いヒゲを生やしたサンタクロースみたいなおじさんが、マイクを持って“Punch and Judy ! Come and see the show !”と呼びかけると、あっというまに人だかり。ボクとDadは一番前の列に座ったんだ。おじさんは集まった観客にパペットを見せると箱の裏側へ。そして音楽が鳴って、ステージにパンチが出てきたんだ。さっきのおじさんがしゃべってるってDadは言うけど、パンチの声はすごくヘンな声。パンチは、赤ちゃんを蹴飛ばしたり、警官を殴ったり、クロコダイルに噛まれたり、すごくfunny!

一番おもしろかったのは、お化けが出てたところ。お化けが後ろからパンチをたたくんだ。でもパンチは誰がたたいたのか全然気づかない。
ボクたちが「後ろだよ〜」って教えてるのに、パンチは全然気づかなくて、何回もお化けにたたかれちゃうんだ。 やっとパンチはお化けを捕まえて、
「こいつが俺をたたいたのかい?」って聞くから、
みんなで 「Oh Yes, he did it !」って答えたら、
ボクよりもDadの方がずっと大きな声で叫んでいたよ。



パペッターのおじさんの楽しい話で子どもたちが集まります


“パンチ&ジュディ”ショーのはじまりはじまり。まずはパンチがみんなにごあいさつ。


パンチとジュディはいつも大げんか。赤ちゃんをうばいあってるところ。


人気者のクロコダイルの登場に子どもたちは大喜び。
このクロコダイルにソーセージをあげる役をやりたくて、みんなソワソワ。





ベテランパペッターのデス・ターナーさん。
奥さんと一緒に車でイギリス各地をまわりながら、Punch & Judyショーを演じています。
フェスティバルはもちろん、クリスマスや誕生日パーティなどにも、呼ばれればどこへでも来てくれるそうです。

 



ターナーさんがいつも持ち歩いているトランクを見せてもらいました。人形やショーの小道具がぎっしり。

 


 3 Grandpaと“笑う水兵さん”人形  2006年8月17日 (木)

ある日Dadと出かけた先で、たまたま見つけた小さなミュージアム。
“Working Models & Arcade Games(からくり人形とアーケードゲーム)”

Dadは、「昔は海辺にこういうのがあったんだよ。実物を見るのははじめてだ。どれもDadが子供の頃よりもずっと古いものだな…。ほら、見てごらん。からくり仕掛けの小さな人形が動くんだよ。おもしろそうじゃないか。」といって、Machineにコインを入れた。
するとケースの中で、棺桶が少しずつ開いて、中から小さなゴーストがでてきたんだ。そして牧師さんが教会のトビラの中に入ったと思ったら、ゴーストに変身して現れたんだよ。COOL!

Dadは「よくできてるなぁ。どれもおもしろそうだ」といって、ボクのことをそっちのけで遊び始めちゃった。
他にも箱形のMachineが20台くらい並んでる。小さな人形が並んだものや楽器を演奏するもの、パチンコや射撃なんかもあって、しかもどれも昔のままの仕組み。コイン入れる場所もそのままで、入口の両替機で古いコイン“1penny”と交換すると、昔のまま遊べるんだって。


“Arcade Working Models & Games”とは、“からくり仕掛けの人形やゲーム”のこと。1900年頃から1960年代まで盛んに作られました。コインを入れて遊ぶので、“1 Penny Machine”とも呼ばれていました。イギリスでは、にぎやかな海水浴場の近くに必ずあるアーケードやピア。そうした場所にこのようなMachineが並んでいて、海水浴に来る人々の娯楽となっていたんだそうです。

箱形のガラスケースの中に、ミニチュアのジオラマが組み立てられているタイプが多く、教会や海辺など、いろいろなシチュエーションが表現されています。人形の細かい表情など一つ一つがハンドメイドで作られていて、ケースにはきれいな装飾が描かれていたりします。

コインを入れると、からくり仕掛けによってジオラマのあちこちが動きだします。
書斎の机や椅子がひっくり返ったり、ゴーストが現れたり、チャップリンがステッキで女性のスカートをめくったり、女性が水着に早変わりしたり…。どれも精巧に作られていて、複雑な動きをします。
いずれもユーモアたっぷりのストーリーがあって、大人の世界をちょっとのぞくような内容のものが多いのも特徴です。



教会の墓場から現れるのは…
おきまりのゴースト。

海辺の美女コンテスト。ステージが
回ると中央の女性が早着替え。

窓をのぞくと写真が動く?
手動でハンドルを回します。


ブランコに乗る女の人とチャップリン。
手に持ったステッキが少しずつ…?

1910年頃に作られたパチンコ。


ボクもポケットに入ってた1ポンドをpennyに交換したんだ。 どれで遊ぼうか…。
ぐるぐる見て回っていると、ボクぐらい背丈のある大きな人形と目が合った。
白い服と帽子、古びた水兵さんの格好をした人形。
なんだろうこの人形、なんか動くのかな…?

ガチャ、とコインを入れてみる。
すると突然人形が体を前後に揺らして、おなかを抱えながら笑い出したんだ。
「アッハッハッハ〜ウォホッホッホッ〜アッハッハッハッハッ〜」
目をぐるぐるさせながら、まるで生きているみたいに動く人形に、ボクはちょっとびっくりしたけど、
ひたすら笑いつづけるだけの人形、
見ているうちにボクもつられて笑いだしちゃったよ。
「ウォホッホッホッ〜アッハッハッハッハッ〜」

人形の名前は“Barnacle Bill”。
ボクはこの人形がすごくスキになって、
何回もコインを入れて、何回も一緒に笑ったんだ。
Dadは、「よっぽどそれスキなんだな〜」ってちょっと呆れ顔だったけど。

家に帰ってからGrandpaに、このことを話したんだ。
すると、「笑う水兵さん人形、Laughing sailorの“Bill”のことかい?」ってすぐに分かったみたい!
なんと、Grandpaも子供の頃に、海辺のアーケードにあったその水兵さん人形が大好きでよく遊んでたんだって!

Grandpaは、「そうか。なくなったと思っていたけど、今でも動いているのか…」と懐かしそうに目を細めてた。
ボクはGrandpaと同じMachineで遊べたのが、
なんだかとてもうれしかったんだ。


現代のイギリスの海辺にも、にぎやかなゲームセンターが必ずと言っていいほどあります。そこにもこうした海辺のアーケードゲームの歴史が受け継がれているのです。からくり仕掛けの“1 penny machine”に変わって、UFOキャッチャーやダンスマシーンなどハイテクなゲーム機が並んでいますが、昔と同じように子供や大人が夢中になって遊んでいます。海辺に集まる人々を楽しませるアーケードゲーム、それは今も昔も変わらないイギリスの海辺の風景なのです。




イギリス南部にあるRyeという村のインフォメーションセンターの2階には、今ではもう見かけなくなった“1ペニーマシーン”がたくさん保存展示されています。
うれしいのは昔のpennyに両替をすれば、すべて現役で遊ぶことが出来るということ。なんと古いものでは1910年頃のものからあるというから驚きです。
[Rye Heritage Centre]
Strand Quay, Rye, East Sussex TN317AY
http://www.ryeheritage.co.uk/default.aspx?n=p&p=oldpiermodels



 4 カラフル★ビーチハット  2006年8月22日 (火)



イギリスの南海岸を歩いて目にとまったのは、ビーチサイドにずらっと並んだ小屋のようなもの
イエロー、ブルー、白、ピンク、ボーダーなど、いろいろな色でペイントされています。
こんな海辺に?船小屋ではないようだし、なにかの物置かしら…。

私たちがその小屋を最初に見たのは、寒い冬のこと。
ドアには鍵が掛けられ、誰も出入りしている様子はなし。イギリスのあちこちの海岸で目にしました。



物置ではないようです


トイレではないようです


人の気配もないようです


なんだろう、と思ったまま半年。
そして季節は夏になって…
やっとその小屋の使い方がわかったんです!


どうやら、イギリスの人たちにとって、夏のビーチを楽しむためにとっても大切なアイテムのよう。
名前は“ビーチハット”(beach huts)「hut=小屋」です。


夏の海辺には、たくさんの海水浴客が集まります。
砂浜や海で思い思いに過ごす人たちの中に、その“ビーチハット”を使っている人たちがいました。



海沿いのプロムナードにずらっと並んだビーチハット。 扉を開けて、その前にデッキチェアを並べてくつろいでいます。
小屋の中だけではなく、その前のスペースも重要だったようです。



まるで家のガーデンでお茶をしている感じです。
紅茶を入れてのんびりティータイムを楽しんでいたり、日光浴をしている人もいます。
なんとビーチハットの中には、お茶をいれるためのガスレンジやヤカンまで備えてありました。




こちらは鉄筋二階建てのビーチハット。
どうやらビーチハットの中に、デッキチェアやパラソル、浮き輪や遊び道具などがしまってあるようです。



子供たちは砂浜をかけまわり、大人達はのんびり日光浴。
中で着替えもできるし、荷物も置いておけます。



岩場に並ぶ、白と緑のビーチハット。売店も一緒に並んでいます。
個人で所有しているビーチハットもあれば、一夏いくらでレンタルしているものもあるそうです。



広い砂浜で思い思いに過ごす人たち、その背後に並んでいるビーチハット。
個人所有のものは、自分の好きな色にペンキを塗ったものもあります。
小さなものは、夏になるとトラックで運んできたりもするそうです。


泳いだり、本を読んだり、昼寝したり、お茶を飲んだり。
もしくは、泳ぐでもなく、本を読むでもなく、ただビーチハットから望む青く澄んだ海を眺めていたり。
自然とともに時を重ねる、ゆったりした海辺の夏を楽しんでいるようでした。





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