カナダでの「おりがみ」

2010年4月17日

カナダの保育園。最初の実習も終盤に差し掛かり
「おりがみを子ども達に見せてみたい」
と思いました。

保育園の先生に提案してみると,”Good idea!”と,OKが出たので,早速準備。

いろんな大きさ・色・模様の折り紙を子ども達の前にたっぷりと。
そして,写真(完成図)つきの折り紙の本も2・3冊テーブルへ。

肝心の子どもの反応は,
Wow!

Beautiful!

Cool!
等,とてもよい雰囲気。

自分で折ってみたり何かを作ってみたりしようとする子もいましたが,

多くの子は,本の写真を見て「これ作って~」と大集合。
30分程の活動の時間
は,子ども達に折り紙を「折ってあげること」でほぼ終わってしまいました・・・。-

子ども達は,気にいった折り紙の完成品を手に,とても満足な表情。
夕方迎えに来た保護者からは,「すごいねー」とお褒めの言葉もたくさんいただきました。

子ども達は,家へ持って帰る「お土産」もできたし,「折り紙を紹介する活動」としては良かったのですが,折り紙を通してカナダの子どもたちに伝えたかった思いとは,なんとなく違うものになってしまったような気もしていました…

そして,帰り際に,実習を指導してくれていた先生からの一言

「簡単なものでも,子どもがもっとやってみられるような折り紙がよかったかもしれないね。」

「何か作ってみよう」と,折り紙で試行錯誤していた子どもは何人かいました。
でも,「作ってあげること」に忙しくなりすぎていた自分は,
折り紙を折りながら,そんな子ども達を横目で見ているだけで精一杯・・・。

初めての折り紙をどうやってよいものかわからない子ども達の気持ちは,
次第に「やってみること」から「やってもらうこと」へ移っていってしまいました・・・。

子どもの「やってみたい」という気持ちを十分に広げることができなかった・・・

それが大きな反省として心の中に残りました。

「あなたはがんばらなくていいんだよ。やるのは子どもなんだから。」

実習先の先生が言ってくれたその言葉は,
今でも,毎日

子どもと向かい合うたびに
子どもと一緒に何かをするたびに
子どもに何かを投げかけようとするたびに

薄れることなく
その時の気持ちや風景と一緒に
思い出されています。-

おりがみチューリップ —–おりがみトトロ in New Zealand
(写真をクリックすると[保育士のタマゴが見た海外のKODOMOたち]へジャンプします)

<山本 信>

おりがみトトロのおとしもの ~ “あたりまえの壁”

2009年8月11日

この仕事に就こうと思って以来,
「なぜ保育士になろうと思ったの?」
と聞かれることがよくあります。

僕が保育士の資格を取得したのは,5年程前,保育士としてのキャリアはまだ2年半ちょっとの新参者&未熟者です。
それ以前は,大学院で「地球工学」「環境科学」を専攻していて,地熱(火山・温泉)や岩石の中の鉱物に関する研究に携わっていました(地球環境にやさしいエネルギーとしての地熱研究に関する論文を書いたり,学会で発表したりしていました…)。その僕が保育士の勉強を始めた理由は,自分でもはっきりと意識していたわけではありませんが,”人”について知りたかったからだと思います。

日本で保育士の資格を取得した僕は、大学院をやめて、カナダのカレッジに入学し,「幼児教育」を勉強してきました。 カナダに留学したのは,「英語をもっと理解できるようになりたい」,「他の国の教育制度やカリキュラムなどを知りたい」などということ以上に,

ただ,向こうの「あたりまえの生活」を,自分の目で見て身体で感じたかったからです。

留学先は,カナダのバンクーバーから北へ1000kmほど行った,Fort St. Johnという,人口2万人程,車で10分も行けば突き抜けてしまうくらいの小さな町の唯一のカレッジです。冬は-40℃になり,年間100日以上オーロラの見える小さな町。夏は夜10時頃まで明るくて,冬は朝9時を過ぎてやっと日が昇ってくる,そんな町の4人家族の家にホームステイ。

僕にとっては色々なことが“新鮮”で,“不思議な”環境でした。
でも,そんな「新鮮さ」も「不思議さ」も,現地の人にとっては“あたりまえ”なこと

なぜ(幼児教育を勉強しにわざわざ)カナダに来たのか(日本ではできないの?)」と,カナダではよく聞かれました。

カナダの教育制度や,幼児教育の実態を“知る”だけなら,日本にいながらでも,本を読んだりインターネットを通じて調べたりすることはできます。英語の勉強も,やろうと思えば日本にいながらでもできるでしょう。

でも,この町で”あたりまえ”に生活をしている人びとや子どもたちの目線を感じること,そして,日本人の僕がそこで暮すことによって感じる自分自身の目線の”違い”を感じること,これらは,実際の生活に飛び込まない限り知ることはできない,

そう思って,“留学”を決意しました。

違う環境に飛び込むと,それまでとはちがういろんなものが自分の中に入ってきます。そんないろんなものに真剣に向かい合っているうちに,自分の中の埋もれて見えにくくなっていたものに気付いたり,”新しい”何かが自分の中から出てきたりしました

“新しいもの”は,時として拒否反応や違和感を伴うこともありますが,周りの人びとに支えられたカナダでの生活は,どれも「自分にとって大切なもの」として深く心に残りました。
カナダでの経験は,自分が保育園から大学院まで通ってきた(受けてきた)「教育」への興味となり、さらに,外から「勉強」してみるだけでなく,その(教育の)原点ともいえる「幼児教育」に携わりたい,その現場に飛び込んでみたいと思ったのです。
そして「地球工学」から「保育」への転換。

“あたりまえのこと”があたりまえでなくなった時に,人は今よりもっとたくさんのものと出会うことができる

特に,子ども達にとっては「自分の世界」のみが「あたりまえ」であって,その「あたりまえの世界」が自分の全てですそんな,一人一人の,一つ一つの「あたりまえの世界」としっかり向き合って,その“あたりまえの壁”をできるだけ柔らかく・動かしやすくすることで,また,壁の向こうにあるものを示していくことで,

子どもたちが自分自身の選択のもとで「自分の世界」を広げてみようと思える   

そんな環境を提供できる保育士になりたいと思っています。

<山本 信>

おりがみトトロのおとしもの ~ “I” message

2009年6月10日

子どもが「望ましくない行動」をしている時,それを「やめさせたい」と思っても,
行動によっては,納得できる“理由”を探すことができず,困ってしまうことがあります。

      例えば,

      保育園,担任が子どもの前で話をしている時,何人かが“話を聞いていない”状況で
      「何で先生の話を聞かなければならないのか」
      子どもが納得する理由を探すのは意外に大変です・・・

      「子どもが大人の話を聞くのは当たり前だから?」
      「小学校に行った時に困るから?」

      大人だって“人の話を聞いていない”時がある
      そこに気づいた子どもには,どんな“理由”をつけても,
      なかなか納得してもらえません・・・

そんな時,無理やり“理由”を考えて教えるよりも,ただ,
「そうされるのは嫌だからやってほしくない」
と,こちらの気持ちをそのまま伝えるだけで,子どもの行動が大きく変わることがあります。

      「一生懸命話をしているのに,聞いてもらえないのはとても悲しい」

身近な(特に大好きな)人が嫌な気持ちになったり悲しんだりするようなことは,子どもでも大人でもしたいとは思わない,

だから,「それはしないようにしよう」と思うようになる

それでも納得してもらえなければ,
「なぜ悲しい気持ちになるのか」,そして,その気持ちがどこから来ているのか
それを一つ一つをゆっくり丁寧に伝えていく

子どもの心を動かす大きな“理由”の1つは,理論や理屈ではなく,
身近な人(親や先生など)の
「そういうことをしているのを見ると,とても悲しい気持ちになる」
という心からの言葉やメッセージなのかもしれません。

こうした「自分」の気持ちや感情を伝えることは,“I” message と呼ばれます。
“I” message は,「相手の」行動や責任について話す“You” message よりも,有効なコミュニケーション手段と言われています。

自分以外のことについて話す“You” message の場合,私たちは特に自信を持ちきれないと「抽象的であいまいな」表現を使ってしまいがちになります。そして,それが「借り物の言葉」である限り,どこかで“打ち止め”になってしまいます・・・

でも,自分の気持ちであれば,「なぜ嫌なのか」,自信を持ってしっかりと掘り下げて,どこまでも深く,広く,限りなく,自分の世界を目の前の子どもに伝えていくことができます。
 

“I” messageは,「言われてやる/やめる」のではなくて「自分で選択してやる/やめる」
そんな機会を子どもたちに与え,「子ども自身の世界」を作り上げていくための“お手伝い”になると思います。
保育士と子どもたちとの信頼関係は,同じ出発点に立つことのできる“I” message から始まるのかもしれません。

だから,これからも,毎日「自分の気持ち」をひとつずつ,しっかりと,
目の前の子どもたちに伝えていきたいと思います。

 

                   一人一人,「“私”がなりたい!」という気持ちがにじみ出ています☆これも“I”messgaeなのかもしれません
*ハロウィンの仮装をした子どもたち(カナダFort St.John)。一人一人,「“私”がなりたい!」仮装をして近所の家を廻ります。☆仮装も“I”messgaeの1つなのかもしれません.

<山本信>

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