桑の木のある広場
2008年6月28日
パスー村には、大きな桑の木が生えている広場がありました。この桑の木は、村の始まりからあったといわれ、300年は経っているそうです。日本でよく見る桑の木は、蚕に食べさせる桑の葉が摘みやすいように、株から細い枝がツンツンと伸びているものだったので、私は、桑の木がこんなに大きくなるとは知りませんでした。この桑の木には白い実がついていました。大きな桑の木は、この付近が、かつての絹の道(シルクルート)であったことを思い起こさせてくれました。
この広場は、フンザ川からの風が、日差しを遮ってくれる大きな桑の木のおかげで、心地よく吹き抜けていきます。広場に面した家の前に、おばあさんと男の子が座っていました。
2人とあいさつを交わしていると、広場の周りのあっちこっちから人びとが顔を覗かせました。
おばあさんと小さな男の子の2人だけしかいないように見えましたが、この広場は、周りの家から見守られていたのです。彼女たちともあいさつを交わし、振り向くと、男性が上の道から下りてきて、2人の隣に座りました。その男性の自然な態度に、パスー村の人々がお年寄りを大切にしていることがよくわかりました。
大きな桑の木のある広場は、乾燥地帯のパスー村の中に優しい緑の空間をつくりだしていました。そして、それ以上に、私を優しい気持ちにさせてくれたのは、この広場で感じた、村の人たちのお年寄りに対する優しい気持ちでした。ちょっと呼べばすぐに誰かが来てくれる、そんなこの広場は、お年寄りが、安心して座っていられる場所なのだと思いました。
300年パスー村を見守ってきた大きな桑の木と、穏やかなお年寄りの表情とが、今のパスー村の人々を支えているのかもしれません。
(写真・山本質素/文・中島とみ子)



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ピンバック by Atch Kotch Pakistan » Plaza with sycamine — 2009年12月2日 @ 18:27:52