6. 問題解決の手本になる(Model Problem-Solving Skills)
失望や挫折に直面して,子どもたちが理性を失うのは自然なことです。それを予期できるならば,親や保育士は子どもに対して問題解決の手本となるような言葉がけや支援をすることができます。以下にそうした状況で用いられるやりとりを示しました。

(a) まず初めに問題を認め受け入れる
“I can see there is a problem. Tim has the bike, and you want it.” 「問題があるみたいだね。ティムが使っているバイクを使いたいみたいだね」
“It’s frustrating when the blocks won’t balance.” 「積み木がうまくバランス取れないとイライラするね。」
(b) 問題をはっきりさせた後,解決の手がかりになるかもしれないような質問をする
“Have you asked Tim to give you the bike when he’s finished?” 「ティムに,終わった後貸してくれるかどうか聞いたかな?」
“What would happen if you put the big block on the bottom?” 「もし大きな積み木を一番下に置いたらどうなると思う?」
(c) さらに必要な場合は解決方法を示す,もしくは実際に目の前でやってみせる
“Tell Tim that you would like to use the bike when his turn is over.” 「ティムの順番の後に使いたいってティムに言ってきてごらん」
“Put the biggest block on the bottom, like this.” 「一番大きな積み木を一番下に置いてごらん。こんな感じで」
(d) 問題解決後,4~5歳以上の子どもには,その状況と問題を振り返ることのできるような言葉がけをする
“Next time, you can try to remember how we solved the problem.” 「次回は,どうしたら問題を解決できるか思い出してみようね」
“You thought you couldn’t do it, but now you’ve learned that you can.” 「できないと思っていたけど,できるということがわかったね」
問題解決の手本になることの目的は,成し遂げるのに障害となっているものを取り除いたり,乗り越えたりする力やきっかけを与えることです。 問題の対象が物であっても他の人であっても,この順序に従っていくことで子どもたちは自然とその流れの中に身をおき,その方法と過程を学ぶことができます。この過程をより経験し慣れていくと,今度は子どもたちが自分自身で問題解決のための提案をしたり代替案を考えたりできるようになります。
7. 適切な選択権・選択肢を与える(Offer Appropriate Choices)
ルールを明確にさせたい時や強調したい時,保育者が子どもに簡単な選択をさせることもできます。しかし,その選択が脅しや罰を与えるものであってはなりません。
<例>
*みんなで集まった時に,子どもたちがうるさくなって先生の話が妨げられる状況で
“You can sit quietly at the circle, or you can choose a quiet activity like a puzzle. You decide.”「静かにここに座っているか向こうで静かにパズルなどで遊ぶか,どっちがいい?」
*順番を待てずに,今すぐ使いたいという子どもに対して
“Do you want to wait there for your turn, or do you want to find something else to do?” 「順番を待つ?それとも何か他のことをする?」
8. 当然の,論理的な結果を示す(Use Natural and Logical Consequences)
*「当然の結果」とは,子どものある行動が必然的な,避けられない結果を生み出すことを示す。
“When you forget to put your picture on the shelf, it’s difficult to find it when it’s time to go home.” 「描いた絵をその棚の上に置いておくと,帰る時に見つけるのが大変になるよ」
*「論理的な結果」とは,子どものある行動に対して順序立てた結果を示し,結果を思い描くことを促す。
“Yes, I can see that the paint spilled. Here is a sponge for wiping it up.” 「絵の具がこぼれたね。ここにこぼれた絵の具を吹くスポンジがあるよ」
9. 用具の使用を制限する(Limit the Use of Equipment)
活動を変える,気分を変えるために,おもちゃや用具を一部子どもの手元から離す必要が生じる時があります。この手法はできるだけ用いず,他のどの方法も効果がない状況でのみ用いるべきでしょう。
<例>
“Since you are having a hard time playing gently on the piano, I’m going to close it now.” 「ピアノをやさしく使うのがちょっと難しいみたいだから,閉じてしまおうと思います」
“The climbing frame is ‘off limits’ now because the climbers are using it in an unsafe way.” 「危ない使い方をしているから,ジャングルジムは立ち入り禁止にします」
10. 子どもが自分で修正するための機会を与える(Provide Opportunities for Children to Make Amends)
相手の気持ちや体を傷つけてしまったような場合には,形式的な謝罪よりも,子ども自身が自分で関係性を修復できるような機会を与える必要があります。その機会を,子どもたちがすぐに「利用」できないとしても提供することが大事です。なぜなら,この手法の最終目的は,関係性の修復には仕返しよりも気持ちと時間が必要であることを,子どもたち自身が学ぶところにあるからです。
<例>
“Sharon doesn’t feel ready to play with you yet, because she’s still upset. Let’s give her a little time.”「シャロンはまだ怒っていて,一緒に遊ぶ気持ちになれないみたいだから,もう少し(彼女が準備できるまで)待っていてあげようね」
“Maybe you could help by getting Michael a kleenex while I get a band-aid. No? Okay, maybe you just feel like being alone for a while.”「私がバンドエイドを取りに行っている間に,(あなたは)ミシェルにティッシュを取ってあげることができるかもしれないね。嫌なの?そう,(あなたは)しばらく一人でいたいのね」
上記の文は,カナダ,ブリティッシュコロンビア州政府が作成した英文書を,山本信が試訳したものです。原文(英語)はブリティッ シュコロンビア政府のウェブサイトで他の法律など公式な文書と合わせて見ることができます。
http://www.healthplanning.gov.bc.ca/ccf/child
原文そのものは次のURLで。
http://www.healthplanning.gov.bc.ca/ccf/child/publicat/comm/com015.pdf
(誤訳などいろいろご指摘いただければ幸いです。山本信)